探偵とプライバシー

探偵とプライバシーについての見解

探偵という職業では、人の行動を確認するという仕事内容から「知られたくはない」と思っている部分を見てしまうことがあります。

そのためか「探偵は人のプライバシーを侵害している」というようなご指摘を受けることもなくはありません。

一筋縄ではいかない難しい問題ではありますが、探偵とプライバシーについて当社の見解を以下に記載させて頂きます。

探偵の仕事とプライバシー侵害

浮気をしていた方が探偵の調査で浮気をしていることが判明してしまい、証拠をとられて後に訴えられました。

それにより探偵の存在を否定するほどの怒りを買ったという例があるのですが、依頼を受けて尾行・張り込みをして調査を行うこと自体は「探偵業法」で認められています。

第二条(定義)
他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務を行う営業をいう。

言わば「法律で認められている探偵の仕事」と「プライバシーの侵害という意見」が衝突している状態です。

ご本人にとって「他人に知られたくないこと」を探偵に調べられた、そしてそれが「プライバシーに関すること」だと思っていても、実際にそれらが全て本人のプライバシーの領域に属するかといえばそうではないと考えられます。

プライバシーの範囲

プライバシーとは「私生活上の事柄をみだりに公開されない保障と権利」とあります。

わかりやすく言えば、自室の中での生活内容はプライバシーに該当します。窓とカーテンを閉めてしまえば外にいる他人の目に触れることはないでしょう。

但し尾行・張り込みといった探偵の調査は基本的に「外」で行われるものであり、調査対象者が他人の視線からシャットアウトされた場所で行われているわけではありません。

勝手に行動を調べられて良い気分になる人はいないでしょうし、例えば「浮気」をしていることなどは浮気している本人にとって配偶者や多くの知人に秘密にしていたいことだと思います。

しかし、いくら本人が秘密にしたくとも、多くの他人の視線にさらされる場所で行動していれば本来の意味でのプライバシーは成り立たず、誰もに見られてしまうような場所でプライバシーを確保すること自体に無理があります。

「外」で行動している限りは誰かの視線を受けてしまうことは自明の理と言えるのです。

また、対象者と浮気相手が不倫カップルだとして本人らがそれを秘密にしたいとしても、何の事情も知らない赤の他人にとってはただの男性と女性の親しげなカップルとして見えるかもしれませんし、それを不特定多数の人に伝えてしまうかもしれません。

探偵が全くの赤の他人と違うのは、本人の周辺事情を知っているという点と依頼者に依頼されて本人を尾行しているという点、本人らが不倫カップルだとわかっている点ですが、むしろ守秘義務により依頼者以外にはその秘密は守るでしょう。

浮気を配偶者や知人に内緒にしたい、或いは探偵になど調べられたくない、プライバシーを確保したいなどと思っても、誰かに見られる「外」で行動していればその考えには矛盾が生じると言えるのではないでしょうか。